2002年にLiar-softからリリースされたノベルゲーム『腐り姫』をご存知だろうか。
中村哲也氏がキャラクターデザイン・原画を手がけた本作は、かわいらしいビジュアルの裏側に、もの悲しさと不気味さが同居する独特の空気感を持ったタイトルだった。
正直、ストーリーの細部はだいぶ記憶の霧の中だ。
ただ、あの湿度のある雰囲気が好きだったことだけは、妙にはっきりと覚えている。
そしてもうひとつ、はっきりしていることがある。
このゲームの音楽がやけに良いのだ。
プレイしたのはもう20年以上前だが、ゲームから抽出した音源を自分のライブラリに入れて今日に至るまでふつうに聴いている。
サントラが出ていないから自分で確保するしかなかった、という事情もあるのだが、逆に言えばそこまでして手元に置いておきたい音楽だったということだ。
で、先日なんとなくWEBを眺めていたら、目を疑う情報が飛び込んできた。
『腐り姫』、初のオリジナルサウンドトラック発売。
25年越しの初サントラ化である。2026年1月7日にCDとLP(レコード)の2形態でリリースされていたらしい。
「されていたらしい」と過去形なのは・・・つまりそういうことで、私は発売から数ヶ月経って初めてこの事実を知った。
ファン失格と言われると少し痛いが25年間サントラが出なかったゲームのサントラ発売情報を常時監視しているほうがどうかしている、という理論で自分を許すことにする。
タイトルは『腐り姫 劇伴集 - いろせこいしや ほうやれほ -』。収録は全20曲。
ジャケットは中村哲也氏の描き下ろしで、CDとLPで別内容の制作陣インタビューまで付くという、なかなか気合の入った仕様だ。
しかもマスタリングもCDとLPで異なるらしい。
LP盤も欲しいと言えば欲しかった。
だが、再生環境がない。
しかも気づいた時にはすでにプレミア価格に化けていた。
この2つの現実を前に、人間は極めて冷静になれるものである。素直にCDを注文した。
それにしても、ゲーム音源をわざわざ自力で確保して聴き続けていた楽曲たちが、25年を経て正規のサントラとして手元に届く。
これはなかなか不思議な感覚だ。
音源としてはすでに聴き慣れたものなのに、「公式のパッケージで持てる」という事実だけで、少しだけ音の聴こえ方が変わる気がする。
たぶん気のせいだが、そういう気のせいは嫌いじゃない。
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